農作業メモ
おいしい『黒部米』は土づくりから稲刈りの終わった田んぼではトラクター作業の様子がよく見られるようになりました。来年に向けての土づくりが始まっています。地力ある元気な田んぼを準備して、来年もおいしい『黒部米』をつくりましょう。
●秋起こしで
秋起こしでは土壌改良材と腐植のための有機物のすき込み作業を行います。
この作業は田んぼに撒いたものを土に混ぜるだけの作業に見えますが、実は土の中に酸素を取り込む、『田んぼの深呼吸』も兼ねています。酸素を十分に得た土の中では微生物の活動が活発になり、腐植の進みが良くなります。地温が高く気温も安定した秋に起こすことで、微生物の活動を応援しましょう。
●土壌改良材(土改材)
田んぼの土には生育のための3三要素『窒素・りん酸・カリ』の他に、ケイサン、石灰、苦土、鉄、マンガンなどの養分がバランスよく含まれることが重要です。
特にケイサンは、稲がどんどん土から吸い上げる成分です。このケイサンが不足すると、稲の根・茎・葉・穂は弱くなり、異常な気象変化や病害虫に負けやすくなります。
JAくろべで推奨している「ケイカル」「米取けいさん鉄」「シリカロマン」等を利用して、田んぼにケサン分を補給しましょう。
また、これらの土改材はアルカリ成分を含むものが多く、稲作を繰り返して酸化が進んだ田んぼを弱酸性にし、稲の住みやすい環境に変えてくれます。毎年必ず土改材を施用しましょう。
●有機物施用で地力アップ
土の中では有機物はだんだん腐って形がなくなり、周りの土を黒くしていきます。この黒いものを腐植といいます。腐植は植物にとって良い影響を与えてくれます。
腐植含量を高めるには、有機物を田んぼに投入しなければいけません。
腐植の素は土の中の生物以外の有機物全般です。稲刈りで出たワラや籾がらなどは絶好の有機物なので、必ずすき込んで腐熟させるようにしましょう。なお、ワラや籾がらには前項に挙げたケイサンが多く含まれているので、燃やさずそのまますき込みましょう。
堆肥や発酵けいふんを施用したり、ヘアリーベッチなどの地力増進作物(緑肥)をすき込むといった方法も、腐植を増やすには有効です。
こうした有機物の施用も、毎年実施するほうが地力アップに高い効果を得られます。ぜひ土改材と併せて行ってください。
●水はけも確認
秋起こしをした田んぼは溝を掘るなどして、これからの雨水や雪解け水が停滞しないように留意しましょう。水はけを良くしておくと、春の田起こしが取り組みやすくなります。