農作業メモ
平成25年度の生育概況育苗期
播種の盛期は4月19日頃で、出芽揃いは概ね良好でしたが、育苗期間中は低温で推移したため苗の生育は遅れ、草丈は短くなりました。また、こまめな換気や水管理など適切な育苗管理が徹底され、細菌性病害の発生は少なかったものの、ムレ苗の発生が多く認められました。田植え期
5月15日を中心とした田植え作業を推奨しており、10日以降の田植えは8割以上となり高温登熟を回避して品質を高めるための田植え時期の繰り下げが定着してきています。平成25年の田植え時期の盛期は5月12日頃となり、終期は5月20日頃でした。田植え後は好天に恵まれ植え傷みは少なく活着は良好でした。分げつ期~出穂期
5月中旬から6月上旬は気温が高く、日射量も多かったことから分げつの発生は良好で、初期茎数は多めに確保されました。中干しは6月10日頃から始まり、6月下旬の降雨が少なかったこともあり順調に進みました。幼穂形成期は「てんたかく」が6月30日頃、「コシヒカリ」が7月9日頃で平年より4日程度早まりました。
7月上中旬の気温が高く推移し、葉色が淡くなったことから、積極的な穂肥対応が行われ、穂揃い期には概ね適正な葉色となりました。
出穂期は「てんたかく」が7月19日頃、「コシヒカリ」が8月1日頃となりました。
登熟期~収穫期
稲体の活力維持、品質向上のため、出穂後20日間の湛水管理とその後の間断かん水が徹底されました。カメムシの発生は近年よりやや多かったものの、適期防除が徹底され、その後の発生は少なくなりました。いもち病の発生はほとんど見られなかったものの、一部で紋枯病の発生が見られました。
登熟期間の気温は8月中旬で特に高くなりました。成熟期は平年よりかなり早く、盛期は「てんたかく」は8月21日頃となり、「コシヒカリ」は9月の5~6日頃となりました。
収量と品質
近年に比べ、平米当たりの穂数は多くなったものの、一穂籾数が少なく、平米当たり籾数もやや少なくなりました。その一方、登熟歩合はやや高く千粒重もやや大きくなりました。作況指数は全国102(539キロ/10アール)、富山県102(546キロ/10アール)となり「やや良」となりました。品質については県内の一等米比率は、コシヒカリ64.4%、てんたかく84.4%、てんこもり93.3%となりJAくろべ管内の一等米比率は、コシヒカリ79.4%、てんたかく60.9%、てんこもり91.1%でした。品質については、早生ではカメムシ類の多発による斑点米の発生、コシヒカリでは8月中旬の高温の影響による白未熟粒の発生が多く見られました。
まとめ
平成25年産米は、田植え以降、概ね高温・多照傾向で推移し、出穂期は8月1日(平年8月5日)で田植え時期の繰り下げに取り組んだ平成15年以降最も早くなりました。出穂期が早まったことにより登熟期間の異常高温に遭遇しやすくなりました。平成25年は、8月上中旬が高温で推移し、特に8月9日~19日が記録的な高温となりました(図1)。白未熟粒の発生に影響を及ぼす出穂後20日間の平均気温は27.2℃(平年25.8℃)で、平成22年(27.5℃)に匹敵する高温となりました(表1)。移植コシヒカリのほとんどは、出穂後20日間に平均気温27℃以上の高温に遭遇したと見られ、このような高温条件下での登熟によってでんぷん蓄積が抑えられ白未熟粒が発生したと考えられます(図2)。次年度に向けての対策として、26年度についても高温登熟を回避するため、5月15日を中心とした田植えを引き続き推進していきます。早生・晩生品種やコシヒカリ直播栽培の導入など適期に刈取りが実施できるよう作期の分散を図りましょう。また、出穂後20日間の湛水管理や収穫5~7日前までの間断かん水を徹底しましょう。高品質で安全・安心な黒部米を消費者に届けるために、ケイ酸質資材や堆肥の散布など土づくりをしっかりと行うことも重要です。白未熟粒は籾へのでんぷん蓄積が不完全になることで発生します。登熟期は光合成能力を低下させないことが重要です。特に稲体の珪酸濃度を高めておくことが必要となりますので土壌中の有効態珪酸の確保に向け土改材の継続的な施用に取り組みましょう。