農作業メモ
平成２８年産の収量・品質向上のため計画を立てましょう!!
平成２７年度の生育概況
◎育苗期
播種の盛期は４月２１日頃で、苗の生育は、概ね順調で、ムレ苗や細菌性病害の発生は少なかったです。一部で換気不足やかん水過多による根張り不良やカビの発生などの障害が見られました。
◎田植え期
５月１５日を中心とした田植え作業を推奨しており、１０日以降の田植えは約７割となり、高温登熟を回避して品質を高めるための田植え時期の繰り下げが定着してきました。田植えの盛期は５月１１日頃となり終期は５月２２日頃となりました。平成２７年産は、田植え後に好天に恵まれたこともあり植え傷みは少なく活着も良好でした。
◎分げつ期～出穂期
５月中旬から下旬は気温が高く、日射量も多かったことから初期分げつの発生は順調でした。中干しは６月１０日頃から始まり、６月中・下旬の降水量が少なかったことから中干しは順調に進みました。幼穂形成期は「てんたかく」が６月２９日頃、「コシヒカリ」が７月１３日頃で、平年並みとなりました。草丈はやや短く、茎数はやや少なめに推移しました。葉色は６月中旬から幼穂形成期にかけて淡くなりましたが、水管理や肥培管理など的確な管理によって穂揃期の葉色は適正となりました。出穂期は「てんたかく」が７月２１日頃、「コシヒカリ」が８月４日頃となり、平年より１日程度早くなりました。
◎登熟期～収穫期
稲体の活力維持、品質向上のため、出穂後２０日間の湛水管理とその後の間断かん水が徹底されました。
畦畔及び水田内におけるカメムシ類の発生が多かったため、適期防除に努めました。また、紋枯病の発生が前年並みに多く見られました。
登熟期間の気象は８月上旬頃まで気温の高い日が続き、中旬以降は気温が低く推移しました。日照時間は少なく、降水量は多くなりました。成熟期は「てんたかく」で８月２５日頃で「コシヒカリ」は９月１２日頃となりました。
◎収量と品質
平年に比べ、平米当たりの穂数はやや多く、１穂籾数はやや少なくなり、平米当たり籾数は平年並みとなりました。また、登熟歩合はやや低く、１０００粒重はやや大きくなりました。坪刈収量は平年よりやや低くなりました。
作況指数は全国１００（５３１キロ／１０アール）、北陸９９（５３１キロ／１０アール）、富山県１０３（５５９キロ／１０アール）となり「やや良」となりました。 品質については、県内の１等米比率は、（ 平成２７年１０月３１日現在）コシヒカリ９３.２％、てんたかく７６.９％、てんこもり９６.１％ となりＪＡくろべ管内の１等米比率は、（平成２７年１１月１８日現在）コシヒカリ９７.９％、てんたかく７２.１％、てんこもり
９６.５％となりました。品質についての主な格下げ要因はてんたかく･コシヒカリではカメムシ類による斑点米の発生、てんこもりでは青未熟粒の発生が見られました。
◎まとめ
平成２７年産米は、栽植本数の確保、中干しの徹底など栽培管理の励行により、穂数や籾数は適正レベルとなり、登熟期間の気温も適度で品質は良好なものとなりました。しかし、早生品種「てんたかく」を中心にカメムシ斑点米が多発しました。今年は、早生品種の割籾率が平均で２０％程度と非常に高くなり、斑点米カメムシの被害を受けやすい状態となりました。コシヒカリも含め、割籾率は斑点米混入率、特にカスミカメ類による側部しみ・頂部黒変粒の混入率と比例関係にあり割籾率の増加がカメムシ被害の増加に繋がったと考えられます。
次年度の対策としては、斑点米の発生防止として、珪酸質資材を施用し、籾殻の珪酸濃度を高め、割籾の発生を軽減したり、適正な着粒数を確保することが必要です。畦畔や雑草地のイネ科雑草の穂が出ないよう草刈や圃場内の除草を徹底することが大切です。適正な防除については、農薬の散布期間は７日間を目安に散布し、畦畔雑草にも薬剤がかかるように散布しましょう。
２８年度についても高温登熟を回避するため、５月１５日を中心とした田植えを引き続き推進していきます。田植え時期が遅い程白未熟粒の発生は少なく、整粒歩合は向上しています。コシヒカリの品質を高位安定化させるために８月５日以降の出穂を目標としましょう。早生（てんたかく）・晩生（てんこもり）品種や直播栽培の導入など適期に刈取りが出来るよう作期の分散を図りましょう。また、出穂後２０日間の湛水管理や収穫５～７日前までの間断かん水を徹底しましょう。高品質で安全・安心な黒部米を消費者に届けられるために、珪酸質資材や堆肥の散布など土づくりをしっかりと行うことも重要です。白未熟粒は籾へのでんぷん蓄積が不完全になることで発生します。登熟期は光合成能力を低下させないことが重要です。特に稲体の珪酸濃度を高めておくことが必要となりますので土壌中の有効態珪酸の確保に向け土改材の継続的な施用に取組みましょう。