農作業メモ
品質向上の基本は土 づくりから水稲
稲刈り後の田んぼ
稲がお米として巣立ったあとの田んぼは、養分バランスが崩れています。来年分の力を蓄えさせてあげるため、土壌改良資材(土改材)と有機物を施用し、秋起こしで田んぼをほぐしましょう。
1.土壌酸度の矯正や不足養分の補給
土壌改良資材は毎年必ず施用して、稲作を繰り返して酸化が進んだ田んぼを弱酸性(pH6・0)に矯正しましょう。
特にケイサンは、稲がどんどん土から吸い上げる成分なので、収穫終了後の田んぼは不足がちになっています。
土壌改良資材の効果は、稲の葉や根を丈夫にする、フェーン時に水分の蒸発を防ぐ、土壌pHを高めるなど、稲が生育しやすい環境の基礎を作る重要な役割を担っています。「ケイカル」「米取けいさん鉄」「シリカロマン」などをしっかりと施用して、田んぼにケイサン分を補給しましょう。
2.有機物のすき込み作業
有機物は土の中で分解が進むと腐植に変化します。腐植は、透水性や保水性・通気性が良好になって稲の根張りを良くします。また、養分の保持力を上げ登熟歩合を高める効果もあるので、有機物は土壌改良資材と併せて毎年施用しましょう。
稲刈りで出たわらや籾殻などは絶好の有機物です。これらには前項に挙げたケイサンが多く含まれているので、燃やさずそのまますき込んでください。
堆肥や発酵けいふんを施用したり、ヘアリーベッチなどの地力増進作物(緑肥)をすき込むといった方法も、腐植を増やすには有効的です。
3.すき込みによる酸素補給と作土層の確保
地温の高い10月中の秋起こしは、土中の微生物の活動を活発化させ、稲わらや籾殻などの有機物の腐熟を促進し、土力をアップさせる効果があります。
また、作土層の確保にもつながります。1度に深く掘り起こすのは難しいので、秋と春の田起こしセットで作土を15センチ確保しましょう。
●水はけも良好にする
秋起こしをした田んぼは排水溝を掘って、これからの雨水や雪解け水が停滞しないようにしましょう。水はけを良くしておくと、田んぼが乾いて稲わらの腐熟が進みます。また、春の田起こしが取り組みやすくなります。
大麦
排水第一で万全に
水田跡での栽培は、湿害を防ぐために稲刈り直後から排水対策を行います。水口はしっかり止めます。額縁排水溝を掘り、短辺7~8メートル間隔に基幹排水溝を設置します。排水溝は、深く掘り下げた排水口と確実に連結させ、圃場の乾きを促進させましょう。
●土壌改良資材と有機物の散布
麦は水稲よりも高いpHを必要とします。pH6.0~6.5の確保を目標に石灰質資材を耕起前に施用します。また、水田跡は有機物の分解による地力の消耗が激しいので、地力維持のために堆肥などの有機物を積極的に施用しましょう。
●播種
10月上旬から中旬にかけて播種作業を行います。
良好な出芽・苗立ちを確保するため、圃場を乾かしてから播種作業を行いましょう。基肥施用、耕起、作溝、播種の1連作業を1日で行います。
トラクターの速度を落とし、土を細かくし、根がしっかり張るよう、作土15センチ以上を確保しましょう。畝幅は3メートル以内(排水不良田は2メートル程度)とし、しっかりした溝(幅30センチ、深さ20センチ以上)を設置して排水溝に確実に連結しましょう。
作業後は排水溝が排水口まで連結しているか、再度確認しましょう。
大豆
●雑草・青立株は除去
収穫にあたり、事前に雑草や青立株を抜き取り、畦間の雑草は刈払機などによる除去を行うなど、汚染粒の発生を防止しましょう。
●適期刈取り
葉が完全に落ちて莢が茶褐色になり、振るとカラカラ音がするようになると収穫時期です。子実水分がエンレイで22%、オオツル・シュウレイは20%以下になったら収穫を開始してください。作業は子実が乾いた時間帯(午前10時~午後4時)に行い、コンバインの刈取り高さは地際から10センチ程度とし、土や雑草の混入による汚損粒の発生を防ぎましょう。
早刈りは水分が高いため、汚損粒や破砕粒の原因になり、刈遅れは子実の光沢低下やしわ粒増加の要因となるので、適期収穫に努めましょう。
●コンバイン調整
刈りはじめには刈取高(10センチ以上)や速度、脱穀選別・排塵調整などのチェックを行い、収穫ロスの低減や安全作業に努めましょう。
●乾燥調製
子実水分は14%に仕上げます。急激な乾燥は、しわ粒や皮切れ粒の発生原因となるので通風乾燥するか気温プラス5度以内の送風温度で、乾燥速度は毎時乾減率0・3%以下で行いましょう。選別は適正流量で行い、被害粒が混ざらないようにしましょう。
連結させ、圃場の乾きを促進させましょう。
乾燥調製はJA大豆乾燥調製施設をご利用ください。